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【2月号】続けてみた先に

2月3日に、本が無事発売となりました。実物が届いたときは、正直ピンとこなくて、後からジワジワきた感じです。まわりの方が感想を伝えてくださって、「本書いたんだなあ」と実感が湧いてきました。いまのところAmazonの農業書ランキング1位だそうです。すぐに陥落すると思いますので、今だけ(笑)。よく考えたら、文章を書くというのは、この「畑のつぶやき」を就農当初から書いてきて、それが助走になったのかなと思います。月一回、文章を書くというのは、自分が考えていることの棚卸しをするような感じで、自分で書いてみて、「中身スッカスカじゃん。」と途方に暮れたりするのに良い機会でした。

スタッフが増え、「畑のつぶやき」も持ち回りにしてみました。文章が苦手で、というスタッフにも、無理矢理にはさせませんが書いてもらうこともあります。後からじわりと経験値になったりするものなので、次回〇〇さん、書いてみる?と振ったあとの「え~、どうしよう~。」という反応には、半分聞いて、半分聞かないというスタンスできました。ごめんよ。でも、きっと何かの力になっているはず。

一番のベテランなんでもできるタツさんが卒業しまして、同じ佐久穂町に就農しました。長野県白馬村の出身なのですが、就農地はここに。農業のリアルをずっと体感してきた彼なので、晴天率や物流網などの現実的な事を考え、決断しました。最後の一年は、独立する、やっぱりやめとく、でかなりゆらぎましたが、最後は「やってみなって」と背中を押してみました。自分は経営者向きではないと冷静に自己判断しているのは見事です。あとは「向いているという方向に自分を寄せていく」しかありません。タツさんに伝えたのは、経営者というポジションは背骨矯正ベルトみたいなもので、「うわ、今日休みて~」とか「つらいことがあって機嫌よくいられない」とか「売上イマイチだな~」とかあっても、矯正ベルトが働いて、「おっはよ~!」と朝元気に挨拶できるものです。そういう意味で、楽なポジションでもあります。今のタツさんに矯正ベルトが備わったら強いだろうと思ったのでした。


5年いてくれたマッキー、3年いてくれたユキルが卒業。マッキーはもともと3年で自立と言っていたのですが、3年経って、「全然習得できていないので5年いさせてください。」ということで、見事5年ですべてを習得しました。おまけにユキルと結婚して、エネルギー満タン状態で、宮崎で就農です。ユキルは、なんたって小分けのエースです。野菜の小分け作業が好きという、非常にありがたい特性をもっていました。仕事はめちゃくちゃ早いし、「圧なしの指示」ができる。という訳でエースクラス3人が抜けます。

着実に次の人材が力をつけているので心配はしておりません。今年の畑リーダーは、4年目のタクヤンがやってくれるとのこと。のらくら農場史上もっとも「圧のないリーダー」です。誰にとっても話し掛けやすい人というスペシャルな人柄です。彼の人徳がまわりを動かします。まわりのメンバーがタクヤンの強力なフォロワーとして彼を支える決意があります。こういうの、いい感じ。そうそう、タクヤンと出荷担当のミオさんが結婚です。同時に農場内で二組結婚というめでたい状況。うれしいなあ、こんな日が来るなんて。続けてきてよかった。

多品目有機栽培なんて無理だと随分言われてきましたが、続けて続けて、更に続けていくと、その先に別の状況が生まれることを実感しております。


話が変わるのですが、ある日、僕が今寝ている枕元に、娘が脱いだ靴下を置きっぱなしにしておりました。「まったく。明日注意しないと。」と思いつつ、疲れてそのまま寝てしまいました。翌日、前日の靴下の上に、今日の靴下が重ねて置かれておりました。ここで、僕は「ちょっと面白い」と思ってしまいました。翌日、かなり期待して枕元を見てみたら、3足目が重なっていました。娘よ、でかした!「靴下が鏡餅みたいじゃないか!」と娘に注意するのを忘れて、娘とゲラゲラ笑ってしまいました。いけないことも突き抜けると芸になる。文章も、農業も、いけないことも続けてみると芸になるのかな。違うか。(笑)


代表

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