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【12月号】心躍るところが私の居場所

東京から信州に移住して3回目の冬を迎える、ゆうこです。

20年近く東京で働いてきて、このあたりで一度立ち止まって人生の先行きを考えてみよう、この先どんな生活をしたいのか、何を大切にしたいのかなどと思い、心赴くままに直感を信じて、縁あった信州に来ました。


信州に来てからは仕事で農家さんへ取材へ行き、休日は家庭菜園で土に触れる日々でした。農作業経験が全くない私を地域の皆さんは、とても親切に教えてくださいました。作業を手伝わせていただいたことで、よりたくさん会話ができて、お茶請けの漬物や煮物などお茶飲みの時間を共有することで親しくなり、帰り際に「また来てねー!」の言葉で私の居場所を作ってもらった気がします。今でもふらっと立ち寄らせていただけることが有り難いです。

ニンニクやモロッコインゲン、とうもろこし、いちご、かぼちゃ、にんじんの収穫、加工場で作るぶどうジュースやトマトケチャップ、豆腐や味噌、野沢菜漬け、そして米作りといった様々な農作業や食文化に触れると、心が躍るのが わかりました(笑)。そういう経験が農場で働こうと思う気持ちを後押ししてくれたんだと思います。 そして、上田市にあるNABOという本屋でのらくら農場の本に出会ったのがきっかけで、今年の6月から12月までの期間雇用スタッフとして勤めています。


「農業業界という枠ではなく、カルチャーつまり文化圏で自分の道を選んでいた。この中に、のらくら農場がたまたまあった。」スタッフ募集をする際、農業をしたい人に囚われていたと紀行さんが書かれていて、集まってくるスタッフはクリエイティブな何かと農業、例えばアートと農業が同列。その感覚わかる、のらくらで働きたい!と思ったのです。確かに、ほとんどが非農家出身。小分けの作業をしながら、好きな映画や音楽、絵本、服の話を同僚が共感してくれるなんて、意外でした。


働き始めて、最初は野菜の小分け作業にドキドキの毎日、、、先輩の丁寧で正確かつスピードの速さに圧倒されながら、遅れないように見様見真似がやっとでした。 特に葉物(春菊や小松菜など)を担当することが多く、農場のいくつかの畑に分散して植えているため、生育が異なります。毎朝同じ葉物でも、申し送りを聞き逃さずに作業に入っています。さらに、多品目栽培ののらくら農場では、次から次へと野菜の収穫と小分けに「初めまして!」があります。そのため、野菜の特色や収穫と小分けの注意点を聞いて、先輩に習って少しずつ覚えていったのです。最近では、「小松菜足りないので、獲ってきます!」とダッシュで坂道を登ってしまうほど、体が自然と動いてしまっています。


出勤時、車で農場への道を走らせていると、今日はどんな野菜を収穫するのだろう、どんな作業が待ち受けているのか、ワクワクしてきます。特に思い出深いのが8月のかぼちゃ収穫。スタッフ総出で畑で宝探しのようにかぼちゃを見つけて、軽トラいっぱいに積んだかぼちゃ。急カーブでコロンと落ちたのを見て、降りて拾ったものです。9月のじゃがいも収穫。紀行さんがポテトニッカーという機械でじゃがいもをゴロゴロ掘り出して、大中小に分けてコンテナへ入れていきます。今季の作業で一番待ち遠しくて、「今日じゃがいも行きますか?」と聞くほどに。念願叶って、じゃがいも畑へ行けた時は、「ゆうこさん、じゃがいも行けてよかったね!」と言われるほど、好きさが爆発していたんだと思います(笑)。11月のにんじんも。今季はにんじんが豊作!にんじん畑に入ると、プーンとにんじんの香りに包まれ、さらに泥を落とすため水洗いにかけると、きれいなオレンジ色になり、さらにいい匂いがします。


収穫に向かう軽トラで風に吹かれ、初秋の気配を感じたり、荷台で収穫したたくさんの野菜たちと乗っていると、まるで野菜が仲間のような気分になります。だからこそ、小分けし梱包する作業に愛着を持って、旅立つ野菜たちを見送るのです。あっという間に月日は過ぎ去ってしまいました。12月で私の今季の作業はおしまいです。また来年、農場のみなさん・農場猫のジジとシロちゃん、畑の作物や佐久穂の景色に再会できることを心待ちに、長い信州の冬を過ごそうと思います。


ゆうこ

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