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【2023年3月号】「農家のムスメ」


↑雪が溶けて畑作業本格始動です!今年は広茎水菜の自家採種にチャレンジ。


3月になり、春らしい日もちらちら。雪が溶けて畑作業も本格始動です。冬の間に鈍った身体が歓びます。

ずっと「信州の冬は長い」と思っていましたが、農場の冬はあっという間です。もう畑に野菜はないのにやることがたくさん。今年の冬ほど短く感じられる冬は初めてでした。


のらくら農場で4年目の春を迎えます。

スタッフのほとんどが非農家の出身の中、私は長野県内の果樹農家の出身です。家族経営のリンゴ農家で、やはり両親は休みなく畑に出て家族で街に出たことは数えるほどしかありません。学校行事はいつも不参加。友だちのうちと違うことがとても寂しかったのを覚えています。

でも遠足のとき、友だちのお弁当には冷凍の唐揚げが入っているのにうちのは手作りのものしか入っていません。この矛盾に毎年、山のうえで首を傾げていました。家族旅行には行かなくても、食べるものは大切にしてくれていたのだと思います。


そんなこともあってか、「食に携われたら」と思い大学では栄養学を専攻しました。野菜作りは、土壌の分析から肥料を設計し、土をつくって種を蒔き、水分量や栄養素の欠乏などを見極めて栽培します。収穫した作物は植物から食べ物となり、人々の身体を巡ります。農業はまさに栄養学。まだまだ知らないことがたくさんあります。奥が深いです。


のらくら農場では、また5月から美味しい野菜をお届けできるよう準備を進めています。肥料を施せば種を蒔く光景が、種を撒けば実がなる景色が浮かびます。私自身、春の清々しい野菜を手に取ることが楽しみです。


幼い頃、友だちにうちのリンゴが「おいしい!」と言われることがとても誇らしく、嬉しかったことをよく憶えています。ときどき、お客さまからメッセージをいただくことがあり、あのときの気持ちを思い出してグッときます。なんとなく恥かしかった”農家”が今は胸を張ってカッコいいなと思えます。


この春、農場の同僚夫婦に赤ちゃんが生まれます。甥っ子姪っ子が生まれるような気持ちです。仲間もたくさんいるし、そりゃ忙しない農家だけど休むときは休んで、たっぷりと家族との時間を大切にして欲しいです。そして、子どもたちにとっても「カッコいい」農家でありたいです。


また今シーズンも、大切な家族の食卓を任せられる、そんな野菜を仲間たちと作りたいと思います。よろしくお願いします!!


小宮山日向



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