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【2023年10月号】「まだ農業を知らない私へ」



 突然ではありますが、私は農業に向いていません。農業経験及び知識は一切なく、体力もなく、おまけに腰を患っており、まさに今ぎっくり腰を起こしてしまい、療養中にこの文章を書いております(汗)。では農業が好きで興味・関心が高いから始めたのかと聞かれればそういった訳でもないのです。そんな私ではありますが、今回のつぶやきを書くにあたって、先輩のような豊富な農業経験からの話も、他の新人の仲間のような農業に対する情熱や展開についての話も書くことができません。ですので、今回はこのような私がなぜのらくら農場に来て、ここでどう感じ、どう向き合っているのかについてお話できればと思います。


 初めまして、こんにちは!ネギ丸こと川村友洋と申します。期間限定のアルバイトとしてのらくら農場に来て、約4ヵ月になります。


 先ず、なぜ農業に縁もゆかりもなかった私がのらくら農場にくることになったかというと、前職の看護師を辞め、家にいたところ、久しぶりの友人からの飲みの誘いがありました。その友人こそ萩原さんの息子であり私の昔馴染みでした。そこで、忙しい時期になるから人が欲しいと誘われ、私も暇をしていたため、軽い気持ちで承諾し、今に至ります。

 しかし、仕事が始まり、みなさんと合流すると農業経験者や農業を学びたい人がほとんどでした。始まった当初、私は農業知識もなく、別段学びに来たわけでもない自分が皆さんと一緒にやっていけるのか?むしろ迷惑になるのではないか?と不安になっていたことを覚えています。

 では、そんな中なにをモチベーションに今までやってこられたか、それは偏に「職場の雰囲気」が大きいと考えています。私は前職は看護師として働いていましたが、命を扱う現場という重責感、それに伴う職員達のピリピリした雰囲気、人間関係の悪化、そういったものが性に合わず退職してしまいました。働く環境において重要なことを考えた際に人によって意見が様々あると思います。その中でも、私は人間関係が非常に重要だと考えています。

 のらくら農場のオリエンテーションを受けた際、「怒るの禁止」と話を受けました。初めて聞いた際には、それで集団が上手くまとまるのかとも考えましたが、実際働き始めると非常に働きやすいと感じました。それは。新人が質問しやすい環境であるし、先輩後輩かかわらず円滑にコミュニケーションがとれる、また委縮しないでアドバイスを受けられるため、十分にパフォーマンスを発揮できると感じました。ですが、たとえ「怒るの禁止」というスローガンを掲げたとしても、そのような雰囲気を作るのは簡単ではないと思います。これは萩原さん始め、先輩方が作り上げ、実践してきた基盤があってこそなのだと感じます。


 さて、ここからはまったくの素人が農業に関わってみての話をさせて頂きたいと思います。

 のらくら農場は朝7時スタートで、農家にしては少し遅めの始業らしいのですが、それでも朝が苦手な私にとっては、早起きが結構大変でした。しかし、早起きをひと月も続けると、それが習慣になり、休みの日でもその時間に起きるようになりました。

 当初私の思い描いていた農業は、丸一日、畑に出て鍬で畑を耕したり、肥料をまいたりといったものを想定していました。しかし、実際始めてみると、もちろん畑作業もありますが、野菜を収穫しそれを袋ごとに分け、各店舗へ出荷するといった作業が半分を占めていることを知りました。今まで何とはなしに食卓に並んでいた野菜たちですが、このように届けられているのだなと分かり、食への感謝が深まったような気がします。私は、細かい作業を一人でもくもくとやることが得意なので、こういった小分けの作業が好きです。また、最近では丸さやいんげんの収穫があり、文字通り一日中収穫する日もありましたが、個人的に一番楽しかったです(笑)。


 昼食はまかないです。代表はじめスタッフが日替わりで昼食を作るので、一か月に1、2回当番が回ってきます。私は、それまでまともに料理をしたことがありませんでした。1時間という時間の中、一人前も作ったことがない人間が、いきなり20人前の食事を作るという状況に、初めてやるどの仕事よりも緊張したのを覚えています。今でさえレパートリーがないため、私の当番の際は毎回カレーなのですが(笑)。

 

 のらくら農場は多品目野菜を育てているため、野菜によって様々な管理作業や収穫、小分けがあります。先輩方は、そういったあまたの作業を、天候や成長し続ける野菜の状況などから判断に判断を重ね、計画を立てています。こういった計画立案は、経験が必要になってくるものです。しかし、教えてもらった仕事は、決して難しいものではなく、知識がなくとも先輩に教えてもらえば行うことができます。

 

 最後に。 


 まだ農業を知らない私へ、ここでの経験は自分の知らないことをいろいろ教えてくれるでしょう。

 私は農業に向いていません。農業の「の」の字も知らないような素人で、農業が好きかと聞かれれば正直わかりません。ですが、私は職場の雰囲気が好きです、もくもくと作業をするのが好きです、野菜をたくさん使ってカレーを作れるようになりました。そしてのらくら農場が好きかと聞かれれば「はい」と答えるでしょう。


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