top of page

【5月号】今期もどうぞよろしくお願い申し上げます

のらくら農場は今年度、計15名で頑張ります!今年の春は雨が少なくカラカラでしたが、ようやく恵みの雨もしっかりと降ってくれました。雨脚が強くなるたびに、歓喜の声があがるほどでした。今期も新鮮で元気ある野菜をお届けできるようスタッフ一同頑張ります!「ちいさな畑セット」の新規お申込みも受け付けております。


栄養価コンテスト受賞~いざ徳島へ~


「う~ん、まいったなあ。荷が重すぎる。」ショート講演の依頼を頂いてしまった。3月に徳島で開催されるオーガニックエコフェスタで、栄養価コンテストというものがある。がんの発生や細胞の老化などを防ぐ抗酸化力、ビタミンC、糖度、えぐ味の元になる硝酸値の低さ、味の5項目で各品目別の全国チャンピオンを決める一大イベントだ。全国から高品質の栽培技術を追求した生産者が集う。そこで、事例発表をしてほしいとの依頼。いや、ちょっと待ってください。うちは、このイベントで最優秀とかとったことないし、化け物みたいにすごい生産者の前でそれは無理ですって、とあたふた言い訳をしたのだが、大変お世話になっている方からだったので、お引き受けすることに・・・。何話したら良いのだろう。不安しかない。


今回、このイベントに応募したレッドケールとグリーンケールは、かなりの数値が取れていたので、もしかしたら受賞の可能性があるかもしれない、とちょっとは期待もあった。万が一、受賞できたら・・・。徳島までの同行は昨年圃場管理のリーダーをしてくれたマッキーを連れて行くことに決めた。彼は過去に高知県で農業研修をしていた。たくましくなった姿を四国の人に見せたいと思ったのだ。うちに来た当初から僕は、「マッキーは同世代最高の農業者になる。」と断言していた。


講演の前に栄養価コンテストが開催された。ほうれん草、小松菜、と各部門の最優秀賞と選評が行われる。どれもとてつもない高栄養価を叩き出している。このレベルじゃとてもうちの受賞なんて無理だろ、と思っていたら、「ケール部門 のらくら農場」とアナウンスされた。「うお!マジか!マッキー、ステージ行って来い!」彼は遠慮したが、一年間畑の管理に神経を張り巡らしてきた彼こそが受賞にはふさわしい。グリーンケールは糖度19という果物以上の数値だった。その直後。レッドケールで2部門目の受賞。結局僕もステージに上ることに。マッキーと並んでステージに上がれるとは思わなかった。レッドケールは抗酸化力が500を超え、分析研究所の過去の数値を含めてもかなりの高さだったらしい。市販の人参のじつに100倍の数値だった。薬に近い。さらにカブの部門でもまさかの3部門目の最優秀を頂いた。すべての部門の受賞が終わって、コンテストの仕組みがよくわかっていない僕は、もう気が抜けていた。最後に総合グランプリというものがあって、そこで「のらくら農場」と呼ばれるとは思ってもいなかった。間の抜けた顔で賞状をいただくことになった。渡してくださったのは日本有機農業普及協会の代表、小祝政明さん。今は有機栽培の技術者としてアフリカなど世界中を駆け回っている超有名人だが、僕と小祝さんが起業したのは同じ年。出会いは19年前。当時、小祝さんも無名で、世の中が小祝さんの提唱する理論に追いつくのがやっとの状況だった。世にも珍しい、オーガニック専門の超良質な肥料屋さんを開業された。技術に関しては間違いなく僕の師だ。お互い、資金も乏しい無名から這い上がってきた。壇上で小祝さんと受賞する側とされる側で向かい合う日が来るとは思わなかった。感謝しかない。


授賞式の直後に事例発表の講演。無冠での講演は本当に荷が重かったので、数分前にグランプリを受賞できて、ぎりぎり間に合った。会場の方々は、前もって僕が受賞を知っていて、講演すると思っていたらしいが、本当に当日の本番まで知らなかったのだ。いつだって綱渡り人生だ。


徳島から車で9時間半かけて帰ってきた。持っていったCDは一度も聞かず。マッキーと栽培技術と思考論をひたすら話し合った。受賞のことはほとんど頭から抜けていて、僕らは次の作戦にのめり込んだ。思えば21年間のめり込んできた。農業は医療並みに社会的地位があっていいと思う。そういうことに僕はこれから力を注いでいくと思う。だが、自分の中での芯の部分は単純な動機だ。「この職業は人生をかけるに値する面白さがある。」


紀行

bottom of page