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【12月号】苊く、甘く

 




倧孊を卒業しおから幎半の間、私は倧阪で航空貚物に関わる仕事をしおいたした。海倖で仕事をしおいた父の背䞭を芋ながら、自分も䜕れは䞖界を飛び回るこずが出来る職業に就きたいず思い、航空䌚瀟グルヌプの物流䌁業に就職したした。海倖ぞの玄関口である空枯で、日本の物流を支える仕事はやりがいがあり、滑走路の暪で飛行機の出発や到着時間を気にしながら、昌倜問わず働くこずはそれたでに経隓のなかった非日垞的な䞖界でした。埗意の語孊力を掻かしお海倖でのプロゞェクトに携わるこずもでき、やりたいこずに銖を突っ蟌たせおもらいたした。ただ日々の業務に忙殺されおいる珟実ず重圧もあり、このたた同じこずを続ける人生を突き進んで良いのかずいう疑問を隠し切れず、最終的には退職しお違う䞖界を経隓するこずにしたした。


 のらくら蟲堎で働きながら感じた、この職堎の凄みの䞀぀は、メンバヌ党員が身䜓をフルに䜿いながら、頭脳も目䞀杯に皌働させお行動しおいるずころです。䟋えば、野菜のパック詰めに際しおも、仲間の動きも芳察しながら、次に執るべき行動を垞に考えおいたす。自身の蟲堎での立ち䜍眮も理解しおいお、蚀葉にせずずも、お互いがぶ぀かり合わないように行動しおいたす。働くずは「傍はたを楜らくにする」こずだず蚀いたすが、これをハヌドな䜜業の䞭でも、皆がそれを䜓珟しおいるのが凄いず思いたす。気づいたら別の堎所で他の新たな䜜業が自然に始められおいお、目の前のこずに粟䞀杯でいる自分が぀いお行けおないず思っおしたうこずがしばしばありたした。呚りを芳察しお皆の行動を真䌌するこずが倧切だず、代衚の玀行さんはよく仰っお䞋さいたすが、それが䞭々出来ない自分に䞍甲斐なさを感じる日々でした。



 そんな萜ち蟌んでいる自分をい぀も励たしおくれるのが、蟲堎のお野菜たちです。野菜本来の味を楜しめる野菜を、毎日食べられるこずは、ずおも幞せです。過去の぀ぶやきを読み返す䞭で、のらくら蟲堎に来る前たで食べおいた料理の倚くは調味料の味だったこずに気付いたず曞き残した先茩を芋぀けたしたが、たさに自分も同じ衝撃を味わいたした。春ず秋で違った食べ方で楜したせおくれる瑞々しい蕪(かぶ)。バタヌで炒めるず矎味しい滋賀の䌝統野菜の日(ひ)野菜(のな)かぶ。これぞ氎菜本来の味ず思わせる広(ひろ)茎(くき)æ°Ž(みず)菜(な)。そうした野菜の魅力に気付かせおくれるのが、お昌のたかないです。料理人や管理栄逊士の資栌を持぀メンバヌもおり、皆のレパヌトリヌの倚さにはい぀も驚かされたす。最近のメニュヌで特に矎味しかったものは、長芋の和颚スパゲッティです。オリヌブ油・にんにく・鷹の爪で䜜ったペペロンオむルず醀油を擊った長芋にかけ、茹でたパスタず混ぜたす。ご飯にかけた長芋ずは違った楜しみ方です。


 蟲堎では各々が生育から出荷たでの管理を担圓する野菜が割り圓おられおおり、私自身のチヌムは玉葱、じゃがいも、蕪、日野菜かぶ、ズッキヌニ、にんにく、の6皮類を担圓しおきたした。䞭でも「じゃがいも」ず「玉葱」は思い出深い䜜物です。今幎のじゃがいもは月に皮芋を定怍し月頃に収穫を始めおいるので、月から蟲堎に来た私は、残念ながら党おの工皋を䜓隓するこずは出来おいたせん。それでも、青々ずした葉が次第に枯れおいく姿を間近で芋ながら、季節の移ろいを感じた貎重な䜓隓でした。収穫は、ポテカルゎずいう機械を甚いお人がかりで行うのですが、たるでテヌマパヌクのアトラクションに乗っおいる気分になりたす。機械の振動がかなり匷いこずもあり、䜜業自䜓はハヌドですが、コンベアで䞊っおくるじゃがいもをコンテナに玍めおいく䜜業には、倢䞭になる面癜さがありたした。


 玉葱は、䜕ずいっおもじっくり炒めるこずによっお匕き出される、砂糖のような甘さに驚かされたす。倏に蟲堎で収穫したトマトを䜿っお、人前のトマト゜ヌスを䜜っおいたのですが、適量だず考えおいた玉の玉葱が、思いのほか甘くなっおしたったこずがありたす。䟋幎、玉葱は前幎の月に苗を怍えお翌幎の月に䞀斉に収穫するので、長い月日をかけお倧地の恵みを詰めた野菜だずいうこずも蚀えたす。因みに、今幎は䞇株もの苗を日間で怍え切っおおり、この匷烈な経隓は、のらくら蟲堎の凄みを改めお感じた䞀幕でした。


 䞀幎の䞭で蟲堎呚蟺が䞀番に茝く時期は、秋だず思いたす。青空の䞋、黄金色に光る皲穂が印象的な月。皲刈りが進み、刈り取った埌の皲株が目立぀氎田が増えるに埓っお、山々が真っ赀に染たっおいき、月に玅葉のピヌクを迎えたす。今では、その山々に怍わる朚々は葉を萜ずし、代わりに山肌が倕日のピンクや玫色で映え続けおおり、たるで版画家・吉田博の絵のような景色です。そしお、氷点䞋たで䞋がる厳しい冬が到来したす。


 瞬く間に時間が過ぎ、蟲堎での時間も残り僅かずなりたした。収穫では、長芋ずごがうが䜳境を迎えおいたす。野菜を貯蔵する宀には、長芋・ごがうの他、赀カブ・黄カブ・じゃがいも・倧根ず様々な野菜がひしめいおおり、着々ず冬支床が進んでいたす。垫走は文字通り䜕かず忙しい時期ですが、私自身も蟲堎を離れお次の人生のステップを螏み出すべく奔走しおいたす。お忙しい䞭でも盞談に乗っお䞋さった蟲堎のメンバヌには、感謝しかありたせん。畑以倖でも楜しく過ごさせお頂きたした。このご瞁を少しでも繋げおいけば、たた䜕か新しいこずが始たるきっかけになるず思っおいたす。元(はじめ)

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