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【2025年7月】野球を農業に活かす ー 目切り ー



もう20年くらい前の記事だったと思う。『週刊ベースボール』という野球の雑誌をなんとなく買った。僕は、野球は全然できなくて、見ている派。そこに元オリックスブルーウェーブスの本西選手の記事があった。


誰もが知るイチロー選手が、大活躍したころのオリックスというチームが強かった。当時12球団最強と言われた、鉄壁の外野陣があった。ライトがイチロー選手。レフトがメジャーでワールドシリーズにも出場した田口選手。このお二人のパフォーマンス、試合前の外野の端から端までの大遠投キャッチボールがファンにはたまらないショーだった。人間離れした強肩のショー。


その二人に挟まれて、センターを守っていたのが本西選手。イチローや田口選手には肩の強さはかなわない。走力も二人が上。


しかし、バックホーム(外野からキャッチャーへの送球)競争では負けなかったそうだ。


本西選手が守備についているとき、対戦相手のバッターが打った瞬間、落下地点を予測する。一度ボールから目を切って、全速で予測の落下地点まで走っていき、キャッチの前にもう一度ボールを目でとらえて、捕球体制にはいるという記事だった。


今はボールを目で追っているが、この後ボールから目を離し、予測落下地点まで走る

(出典:週刊ベースボールONLINE)


一度目を切る。


これは、トマトの収穫で使える!と思った。


ミディトマト



収穫のスピードは何で構成されているか。

手と足と目。


手は、まあそうですね。手が早いと確かに収穫は早い。基本です。


足も重要。仕事が早い人は移動が速い。


そして目。トマトというのは熟度を見て、「これは収穫してよいトマト」と確認して手を伸ばしてとる。丁度よい熟度のトマトを発見したら、もうその目は手が伸びきるまでじっと見ている必要はない。手を伸ばしているときに、目は次の丁度い熟度のトマトを探すことに移る必要がある。


つまり、目をきる。


この目と手がバラバラに動き出すと、とんでもなく収穫スピードが上がってくる。キュウリでもインゲンでもナスでも、試してみたが、果菜類(実がなるタイプの野菜)には特に効果てきめんだった。これは、期間スタッフで入ってきた、初めて農業をやる人も間違いなくスピードが上がる。まさか本西さんも、野球の技術が農業に役立たせてもらっているとは思っていないかもしれない。


これには続きがある。本西さんは、現役を引退。その後、新庄選手がメジャーから日本に戻ってきて、日本ハムファイターズが優勝する。その時の日本ハムが最強の外野陣となるのだが、当時の外野守備コーチが本西さん。そして、我らが長野県の地方球団、信濃グランセローズの初のリーグ優勝の監督は本西さんだったのだ。


イチロー選手や田口選手にかなわなかった身体能力を工夫によって克服したおかげで、指導者としても優れていたのだと思う。だから、最初、農作業が遅い人って、克服したら、将来指導者としての素晴らしい素質を持っているということ、なのかもしれない。



萩原紀行


 
 
 

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