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【10月号】夏の終りに想うこと

農場の夏が終わりを迎えようとしている。

すっかり空気も入れ替わり、秋の七草の桔梗が咲き、農場へと続く道にあるオニグルミが実を落としはじめ、速度を加速しながら秋へと季節が移ろぐ。あれだけたくさん実っていたキュウリやトマトも終盤を迎え、慌ただしく秋作の準備が進んでいる。肌寒くなった農場のすぐ隣にある真っ暗な湖畔で星空を眺めながら、この夏に受けた色々な感覚や感情を、夏の余韻に浸り、昇華したり整理したりしながら、とても充実した時間を過ごしている。

農場に季節メンバーとして加えていただき早3ヶ月。毎日目まぐるしく時間が過ぎてゆく。そんな中でこの3ヶ月間に感じた事、思った事を文章に起こしたくて、畑のつぶやきを書かせていただいています。


「お金の為に働くのではなく、生きるために働きたい」と思い立ち、東京から長野県に単身移住。右往左往しながら早4年。のらくら農場に来たきっかけは、農業でもやってみるかなと、ふわっとした気持ちだった。アルバイト気分で過ごした2ヶ月の中で、農場の仲間たちが農業と真摯に向き合い、迷いながらも考えることから逃げずに前に進んでいる姿を目の当たりにした。長雨で調子が良くないキュウリを見て、「キュウリが可哀想」と言っためいちゃん。夏の干ばつの中、種まきの後に状況を見ながら水やりへと向かうマッキー。多くは語らないが、必ず発芽させるという執念を感じさせる。天候不準によって準備が出来ず全国的に秋野菜が足りなくなると言って、計画より大幅に秋野菜の変更を決断した萩原さん。そんな姿を見て、自分を振り返り、忘れかけていた大事な事を思いだす。重要な選択をする時、後々振り返ってみてやっぱりこの選択をしてよかったと思えるような決断をしたい。人間だから後悔する事や、ああしていればよかったと想う事もたくさんある。でも後々に自分の下した決断は間違っていなかった。そう思えるような行動や選択をしていきたいと強く思っていること。そして本気で駆け抜けた先には、今まで見ることが出来なかった「新しい景色」が待っていることを。


もっと本気で仕事がしたい。このままふわっとした気持ちで、農場生活楽しかったねと半年を終わらせるのはもったいない。そう思わせてくれたのは真摯に農業に向き合って、本気で農業しているのらくら農場のみんながいたからだ。


だからこの気持はとても大事にしていきたい。そして「新しい景色」が見られる、こう想えるようなきっかけをくれた農場のみんなには本当に感謝の言葉しかない。実際に行動に移して1ヶ月が経ち、とても充実した日々を過ごしている。息切れしてうまく息が出来なくて立ち止まったり、考えることから逃げたくなる時もある。それでも、まだやれる。まだ走れる。それが出来るのも、本気で農業している仲間がいて支えてくれるからだ。

まだまだ、何も見えて来ないけれど、先は決まらないけれど、このまま駆け抜けてゆこう。先を決めて走るなんてもったいない。今を一生懸命生きていこう。駆け抜けた先に「新しい景色」が待っていることを信じて。


ふかし

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