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【2024年3月号】「いただきます」



初めまして。昨年からのらくら農場で働かせてもらっている大工原豊です。自分で農業をやろうと考えていますが、まだまだ力不足の半人前です。のらくら農場で、日々勉強させていただいています。

今は昨年末に子供が生まれて育休中ですが、つぶやきが更新される頃には、また農場に戻っている頃だと思うので、今期も宜しくお願い致します。育児は大変だろうなとは思っていましたが、やはり大変で四苦八苦しながら奮闘しています。

寝ている赤ちゃんを抱っこしていて、眠りについたのでベッドに下ろし、一息つこうと思ったら、スイッチが入ったように泣き出してしまいます。赤ちゃんには「背中スイッチ」があるのを実感しています。

日々成長していく子供を見ながら、つぶやきを書かせてもらいます。


のらくら農場で働く前は、10年近く会社員でした。

勤めていた時は、なかなか酷い生活をしており、遅くまで残業し翌日は早朝出勤、休日も出勤し、ほとんど会社にいた気がします。家族との時間も作れずに、精神的に大分やられていた気がします。見てるのが辛いと言われ、自分でもおかしいと分かっていましたが、何も出来ず苦しい思いをしたのを思い出します。

こんな生活を続けるのは無理だなと思い、仕事を辞めた時期に、たまに手伝いをしていた農家さんが「うちで働けば?」と声を掛けてくれたのが農業との出会いです。その時は、次の職を探すまで働こうと思っていたぐらいで、自分で農業をやりたいなんて思ってもいませんでした。働いているうちに農業の楽しさを知り、自分でも農業をやってみたいと思うようになりました。

知識も経験も少なく、農業をやるにはまだまだ勉強しなきゃいけないと思っているときに、地元の先輩からのらくら農場のことを聞きました。とても興味を持ち、ぜひ萩原さんを紹介して貰いたいと思いました。それまで、のらくら農場の事は全く知らず、地元に居ながらそんなすごい農家さんがいるとは思っていませんでした。


初めて萩原さんにお会いした時に、農場の紹介をされながら、有機農法やこれからの先の農業の事を熱く語る姿に圧倒されたのを思い出します。とても楽しそうに野菜の話をされており、野菜への愛が溢れまくっていました。どんな野菜を作るのか見てみたいと話を聞きながら農場に心惹かれていました。

のらくら農場で働きだした当初は、戸惑いと環境の違いに悪戦苦闘し、自分の体力と知識の無さを痛感させられました。収穫した野菜が入ったコンテナを運ぶ作業で、自分が2コンテナを持ってる横で、3コンテナを運ぶ先輩達を見た時は驚きました。無理をしては駄目ですが、そんな姿を見ていると、自分ももっと頑張らなきゃなと思います。

担当野菜の大根の収穫は、畑が広く、軽トラが入れる場所も限られてます。コンテナに入った大根を運ぶ作業は大変で、体力が持つか不安でした。

畑で見る大根は、土からすこし首の部分が見えています。春の収穫当初は、見ても触っても土に埋まった大根の大きさが分からず、まだ小さい大根を何度か収穫してしまいました。先輩に聞きながら、土から出ている部分の長さ×太さで収穫するタイミングを判断することを学びました。秋の収穫では、見た目と触った感じで大根の大きさが想像できるようになりました。重い大根が入ったコンテナもフラフラせずに運べるようになり、自分の成長を嬉しく思いました。

大変だった大根の収穫が終わる時は、何もない畑を見て少し寂しい気持ちがこみ上げてきました。収穫始めの緑一色の畑を見て、無限にあるんじゃないかと思っていました。全部収穫するのはいつになるんだろう、なんて思っていました。収穫が終わった時は、緑色ではなく、茶色い畑が一面に広がってました。何もない畑を見ながら、色んな経験をさせてくれたことに感謝し、「頑張ったな」と達成感を感じました。


収穫した野菜を賄いで食べたときの衝撃は凄まじく、こんなに野菜って美味しくなるものなんだと感動しました。蕪は瑞々しい果物を食べたのかと思ったぐらいです。生で食べた春菊は、柔らかくて甘くてシャキシャキしていて美味しい。自分が今まで食べていた野菜とはまったく違う野菜を食べながら、自分でもこんな美味しい野菜を作れたらいいなと思います。

のらくら農場の野菜を実家に送ったら、「こんなに美味しい野菜をありがとう」と言われ、自分が農場に関われていることを誇らしく思いました。まだまだ農業の世界を知らない半人前の自分ですが、いつか家族に自分の作った野菜を美味しいと言われたいなと思いました。

ご飯を食べる前に「いただきます」と言いますが、自分は毎日の癖で言っていたような気がします。食材にどれだけの手間と時間、多くの人達が関わっているかなど気にしていませんでした。農場で働くようになり、食材にたくさんの手間と時間、野菜を食べて欲しい思い、たくさんの人が関わっていることを実感しました。

改めてですが食材に関わった方達に感謝し「いただきます」と言いたいと思います。


大工原

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