2月に超綿密な作戦を立ててシーズンに臨みます。小さな畑セットの個人宅配のお客様の分は、この時期にこういうセットを組むというのを予測して作付け量を決めます。お店などの流通業者さんの分は、年間の出荷可能な作物の予定表をエクセルで組んで担当者さんに送ります。週別での予測数の返信をいただきます。何枚ものエクセルデータが返ってきたら、週別の合計数を計算します。例えば7月10日の週に小松菜が1500束、8月10日の週にモロッコいんげんが750キロ、など。小松菜を7月10日の週に1500束出荷するとなると、その時期は6条で種を蒔いて、1メーターあたり5キロとれると計算します。(過去に時期別にどれくらいの収量が取れるのか、時期別にデータを取っています)ひと束200gですが、実際は小分けのとき230g位入れますので、230g×1500束=345キロ必要。この時期の小松菜が25日で仕上がるとして、6月15日の週に6条×69メートルの種を蒔く必要があります。これが年間50品目くらいあって、さらに、作物によってできる日数がまるで違うのでそれをすべて逆算して作つけ計画を立てます。また、畑の条件もそれぞれ違います。標高が高い畑や山のそばで冷気が降りてくるところでは成長はゆっくりになります。それも計算に入れていきます。多品目栽培は頭脳戦でもあります。さあこれでバッチリ!であればなんと簡単なことか。シーズンの途中でお取引が始まることもあったり、害虫の攻撃や長雨、日照不足などで簡単にこの計算が打ち砕かれることもあります。それも計画に入れていきます。インゲンやトマトなどの果菜類は収穫量が数日で半分になったり倍になったり。
9月は寒いくらいの低温と日照不足が続きました。9月は秋雨前線が停滞しますので、実はこれも計算に入れています。例えばmあたり5キロ取れる小松菜は3キロに計算するとか。ところがあまりに天候が厳しいとこれが2.5キロになったりします。こういうときはたいてい全国で野菜が足りませんので、お取引先様からも年間の予定を超えて発注が来たりします。今年は関西が災害クラスの天候不順がありましたので、特に乱れました。
天候で収穫量が読みにくい生産面と、実際はどれくらい発注が来るのかわからない販売面の板挟みがあります。僕らのやり方は、肥料を畑にまいてから養生期間というものを設けます。ミネラルが可溶化して、作物が吸収しやすい状況にし、味方となる菌が繁殖して悪い菌を駆逐する時間が必要です。作物によりますが、積算温度400~900日度を想定しています。有機肥料も施肥してからの時間が長すぎると、化成肥料と同じ成分になってしまいます。これが「有機だから美味しいとは限らない」理由です。施肥してからの時間というのが、うちが最も気を使っているところです。養生期間を考えると頼まれたから急に種をまくということがなかなか難しい面があります。
が!それでも日本全体の気候を見てさらに臨機応変にシーズン途中で変化できる形が見えてきました。来シーズン試します!
紀行
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