top of page

【10月号】射程距離

9月が終わり、ようやく夏が終わったと感じます。今年は天候に恵まれました。今年の新人さんもみな穏やかで、よく働いてくれています。夏の炎天下や雨の中の収穫、そして力仕事と大変な仕事ですが、「体きつくない?」と声をかけると、「大丈夫です!楽しいです!」と言ってくれる、若い人達は爽やかですね。


私の方はと言えば、50歳まであと1年半。野菜が入った20キロあるコンテナやダンボールを今もなんとか運べますが、最近は膝が痛くなる時があります。汗)就農当時から、50歳には引退しようと密に目標を立てていました。夫や息子たちからは「早くない??」と言われていますが、それも人それぞれ。こんなにたくさんスタッフが増えるとは思ってもみなかったですが、私の仕事も徐々にスタッフに渡していく準備を進めています。


今年は、次男も進学して家を離れ、私たち夫婦と中学生の娘の3人での生活になりました。3人目の子育てはだいぶ甘くなってしまっている気がします。お風呂掃除は小学生の頃からやってもらっていますが、それ以上の家事を頼もうとすると、「私はお風呂掃除やったよ!」とか「お小遣いもらえるの?」と聞いてきます。彼女は、仕事は最低限で済ませたいんですね。私は彼女に「家の仕事は自分の為にやることでもあるのに、何故お小遣いをあげなきゃいけないの?料理はまだそれほどできなくても、作ってもらったんなら食器の片づけをやるのは当然のことなんだよ。」と伝えています。何もできない赤ちゃんではないのですから。

ふと考えてみると、仕事も似たようなものです。与えられた範囲を超えて、自主的に自分にできることをやろうとする人は、職場で欠かせない頼りになる人になっていきます。担当以外の仕事にもよく気づいてくれる、仕事の射程距離が長い人です。


7年ほど前、地主さんから畑地を買ってくれないかと頼まれて購入した時、土地の登記を自分で行いました。普通は行政書士に頼むのですが、当時調べてみると諸経費含め10万円以上かかる場合があると書かれていてビックリ!それなら自分でやるしかない!と始めたのですが、土地の名義が亡くなったおじいさんのままになっていて、まずはその変更手続きが必要だったり、素人なので法務局に何回も通うことになったりで、思った以上に大変でした。友人に「色々大変だよ~」と愚痴をこぼすと、「よくやるね~私だったらそんなこと頼まれたとしても、とにかく‟わからない“って言って断るよ。」と。友人がサラリと言った言葉に私はあっけにとられて(わからないって出来ない理由になるのかなぁ…わからないって便利な言葉だな)と思いました。「わからない」と言うのと「出来ない」と言うのと、結局は同じような意味なのかもしれません。出来ないことって大概わからないことが多い。勉強にしても、家事にしても、仕事にしても。「わからないです」と言ったら「まずは基礎が大事。これはね・・・」とイチから丁寧に教えてくれるのは、学生のうちだけかもしれません。先生ってありがたいですね。


最初は何がわからないかさえ分からないこともあります。それでも自主的に知ろうとすれば質問が出てくる。理解しようと調べてみれば、相談する内容の質も上がります。「教えてもらってないから、わかりません!」という地点にずっといるのか、若いうちに射程距離を伸ばしていこうとするのか…。


そう考えると、学校での苦手な教科の勉強も、娘が面倒くさいという家事も、社会に出る前のいい練習です。「若いうちというのは意外にも早く通り過ぎてしまうのだよ」と言っても、思春期とゲーム真最中の娘には、きっと馬耳東風ですね。汗


幸代

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page