​2018

 

​2022

 

月号

​やるしかないなら やるしかない

クワの使い方はおろか握り方すらよく知らないままのらくら農場に来てすぐの頃、先輩スタッフの、クワで土の溝を「切る」という表現に首を傾げていました。 「掘る」じゃないの?

よく分からないまま何日も何日も僕は溝を「掘り」続けました。ある日、何かがおかしい事に気づきます。周りの先輩スタッフは溝を「掘る」のがとにかく早い。いや、これは仕方ない。経験の差があるし、時間をかけて追い付こうと思っていた。それはともかく、体力には多少の自信のあった僕がこんなゼェゼェ息を切らし、汗を流しているのに、先輩方はみんな息ひとつ乱してない。涼しそうな顔して一定のリズムで、サクッサクッと心地よいメロディーを奏でながら、華麗にクワを振っている。まるで踊っているかのように。そして何よりも、溝が美しかった。

 

美しい溝を暫く見入ってしまっていた僕を見兼ねて、先輩スタッフがクワの握り方から教えてくれた。

「まずはクワの構造を理解する」   なるほど。

「切った跡の溝を想像しながら切る。大事なのはイメージ。」   はい…

「先端の重さを利用する。力はほとんど入れなくていい」   へ?

「やってみて」    ガッ、ガッ 「こうですか?」

「違う、掘るんじゃなくて切る」   ゴッ、ゴッ  「こうですか?」

「違う、力が入り過ぎてる」   ザクッ、ザクッ 

「おしい!もう少し斜めに」  サクッ、サクッ  「これか!!」

「そう!それ!」

ベース弾きだった私がベースという楽器がメロディー楽器ではなく、リズム楽器だと気付いた瞬間に酷似していました。

矢澤竜星 群馬県出身 26歳 これが私の、生まれて初めて溝を「切った」日のことである。

生涯忘れる事は無いだろう。

 

初めまして。農業未経験無知識でのらくら農場の仲間に入れさせていただいてから約1年が経ちます。ここにくる前はしばらく東京で暮らしていたので、中山間地で農業を始めてみて季節の多さに驚き感動しています。昔、中国には約5日ごとに季節が変わる七十二候という考え方があったらしいです。とても共感です。四つじゃ分けきれません。変動し続ける季節を存分に感じながら、農業を楽しんでおります。

 

のらくら農場で働き始めて、とびきり好きになった言葉を紹介させて下さい。

「やるしかない」という言葉です。

 

のらくら農場での野菜作りは収穫出荷に至るまでに土の分析から始まり、数ヶ月かけて幾つもの工程を踏みます。多品目の作物を育てているので膨大な作業数です。それを毎年事細かく日ごとに計画を立て、出荷日に向け実行に移します。

が、相手にしているのは目には見えない元素や微小生物から天候までの自然そのものです。全て計画通りに上手く行く訳がありません。予定を狂わせる要素があまりにも多すぎる。予想外の連続です。それでも収穫出荷日は決まっていて、その目的を達成する為には、雨が全然降らないなら水を撒くしかない。雨が何日も降り続けるのなら、僅かな晴れ間を狙って畑に出るしか無い。強風でアーチが倒壊したのなら、建て直すしかない。肥料を撒くための機械が壊れたのなら、手で撒くしかない。雑草が作物の生育の邪魔になるのなら、抜くしかない。時間が足りないなら、時間を作るしかない。獣が畑を荒らすのなら、柵を作るしかない。作物の生育が悪いなら、原因を突き止めるしかない。

このままではまずい。じゃあどうする?

もちろんスタッフ全員で最善最短の案を出し合うが、それでも気の遠くなるような作業をしなければならない時が幾度となく訪れます。そんな時に誰かが呟きます。

「やるしかないね」

その言葉に同意し腹を括り、畑へと踏み出すみんなの後ろ姿は、甲冑着を身にまとった武士のようなかっこよさとたくましさを感じます。(クワが刀に見えたこともありました。)

今は諦める選択肢なんて毛頭無い。やるしかないなら、やるしかない。

このやるしかないと腹を括る瞬間を、仲間と共に何百、何千と乗り越えてきたからこそ、のらくら農場からは人としての強さ、そしてチームとしての強さを感じるのだろうと、仲間になり1年経った今、強く感じています。

「やるしかない」を乗り越える度に対応力が身につき、どんな不安をも掻き消す強さを手に入れることが出来る気がします。なので、この言葉と、頼もしい仲間たちが大好きです。

今年は機械を操作させてもらうことが多く、その分機械の故障の現場に居合わせることが多かったのですが、機械が故障する度に、広大な畑の上で不安に襲われる自分をいつも恥ずかしく思います。便利で不安定な時代だからこそ、技術と知識をつけなければ、そんな不安も越えられなくなってしまうのではないかと、よく畑で思います。

耕運機が壊れるいつかその日に、畑の上で踊れるように、僕は今日もクワで土を切り続けます。まだまだわからないこと、出来ないことばかりだけど、とにかく今はやるしかないので、やるしかない。  矢澤竜星

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7月号

​畑で調理する

農作業を終えて、トマトの芽かき後に手に残るいい香りが気になるこの頃のゆうです。冬場は長野の酒蔵で、華やか系の香り高いお酒を仕込んでいます。

農場では、春菊から三つ葉まで野菜本来の華やかな香りもありますが、それ以外にも様々な香りが存在します。去年あたりから徐々に土作り(施肥)に関わるようになり、今年は去年以上に土作りに関わらせて貰い、堆肥の匂いをふんだんに纏うようになりました。 その中には、BLOF堆肥、個人的には木樽の赤ワインを想わせるような、まるで、幼いころ食べた木苺を成熟させたような、そんな香り。特徴は、高品質・高収量・高栄養の根本を担う肥料です。また、オーガニック8:5:3は、鰹節をさらに濃縮した様な香り。特徴は、水溶性で速攻力が優れているので、果菜類やケールの追肥によく使用しています。さらに、キノコの廃菌床を使用して作られたダイシンは、強い香りのため、衣類などに染み込むと、なかなか香りが取れません。施肥作業を終えて戻ってくると、隣人にダイシン臭いって気づかれるレベルです。初めてダイシンに触れたときの発酵熱の衝撃を今でも覚えています。状態にもよるけど40度から50度ぐらいあります。土壌中に生息する微生物(放線菌)の白く纏っている菌糸の様子や、香り、土の表面、触れた時の皮膚の感覚を通し、菌が活発な様子が伺えます。冬場の酒蔵で麹・酛造りに携わっている身としては、職種は違うけど、菌類に交わり歩んでいる事が楽しく感じています。

 のらくら農場では、土壌分析や過去の作物のデータから施肥設計された資料を元に、施肥チームが主に肥料を散布します。香り豊かな堆肥やミネラル系資材の施肥は、僕のイメージでは調理の味付け作業に近いイメージで散布しています。畑で調理する!そんな想いで、調味料を適切なさじ加減でまんべんなくムラなく撒くイメージです。最終イメージ(作物)が何になるのか。収穫風景や播種風景の後の工程をイメージすると、モチベーションも上がるし、作業が楽しく感じられるので、そのあたりも重要だったりします。そんな過程を経て収穫された野菜たちは、旨みがあり濃い味がします。畑で調理されているため、ちょっと味を加えるだけで、美味しい料理になります。ある意味シェフいらずです。

 先日、やーさん、かけちゃん、ぼくの三人で、畑で施肥(いわば調理作業)を行いました。始まる前に3人での円陣(軽いミーテング)が行われ、施肥設計に誤りはないか。どういう順番でどの手段で撒いていくのかを打ち合わせします。今回は、肥料散布機の自走マニアスプレッダ(newSD)と自走コンポキャスタ(コンポ)の二種を使用。農場では、この散布機さんたちを短時間に広い面積を散布するため使用しております。資材の特徴に合われて散布機さんを使い分けたり、手撒きのサンパーという道具を使用したりします。それらを誰が何をまくかも含めて軽く話し合います。 かけちゃんが「俺コンポ行きます!」と先陣をきり、それにつられやーさんが「ゆうさん前コンポやりたいって言っていたからコンポやりませんか?」的なことを提案する。ぼくは「出荷多そうだから、素早く終わるように、慣れているかけちゃんがやるべき」と発言し、かけちゃんは「やりたいという意志を尊重するべき」と主張した。かけちゃんの一言もありチームの合意のもと、今回ぼくがコンポをやることに決定し、newSDはやーさんがやる事に。数tもある堆肥の運び屋はかけちゃんがやることに決定。何も揉めることもなくスムーズに決まり、自分もそれに応えて素早くおわるように、精一杯頑張る。軽トラでの移動中や小分け時のささやかなやり取り、賄いでの同じごはんを食しての会話などなどで、コミュニケーションを築き、フラットな環境だからなせるワザなのかと振り返って考えさせられます。作業の前後で、散布量を調整するシャッターが最適かどうか、施肥メンバーで確認し、ベテランスタッフにも確認をとる。堆肥の状態や風にも影響を受けるので、そのあたりも踏まえて現場でも微調整する。のらくらでは、確認を取りやすい雰囲気、コミュニケーションが取りやすい環境が、ミス防止や良いもの造りに繋がっている。この先の社会において、対等で壁のないフラットな職場が今後問われる気がします。

 施肥を終え、その香りを纏いながら、ふと思い出す事があります。それは、冬場酒蔵で仕込んでいるタンクから放つ香り。日本酒を作るときに生まれる成分のカプロン酸エチル、その青りんごを想わせる香りが、醪(どぶろくみたいなお酒をしぼる前の状態)から解き放たれている瞬間。やっぱり心が疼く。酒造りもやめられない。

 

 これから、トマトをはじめピーマン、ズッキーニと夏野菜が獲れはじめ、彩り豊かになります。猛暑が続く中、観測史上最速の梅雨明けと隣の佐久市では最高気温が観測史上初の37度を超えたことがニュースになっていました。一転して今度は梅雨が戻ってきたような蒸し暑さですが、暑さに負けないようこの先も美味しい野菜を提供していきたいです。(ゆう)

 

6月号

全力で「死なない」 

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のらくらに来て4回目の夏を迎えるメイです。去年の私は「死なない」をテーマに日々を送りました。幸代さんにそれを話した時にこんな言葉をもらいました。「命の危険を感じる機会がある事、人以外にも色んな生き物の命を感じられる事、命がけでやっている事。農業は『死』を身近に感じるいい仕事だと思う。」死というのは重たいもので、苦しさや悲しさを思い出すものでもあります。だから文字にする事をずっとためらっていたのですが、幸代さんの言葉のおかげもあって、私一人の内側から、人の目に触れる所に書き出してみたくなりました。

 

私は去年からは、機械手の一人として、トラクターに乗ったり、肥料散布や液剤散布の機械を扱わせてもらっています。機械仕事は危険と隣り合わせ。私も目の前で、服の袖が巻き込まれて腕を粉砕する直前で機械を止めた瞬間を見たことがあります。萩原さんもこの春、トラクターに乗っていた時に氷で浮き上がっていた斜面が崩れて、もう少しで機械ごと数メートル崖下に落ちる所でした。機械事故はとても他人事とは思えません。農作業死亡事故で昨年270人が亡くなっていて、そのうち機械事故は70%近くを占めます(農水省2022)。

 

私は注意力散漫で運転や機械は上手とは言えません。大きな機械は中古住宅物件を購入できるほどの金額でもあり、恐ろしい。でも機械をやりたい。だから「死なない」。この言葉がいつも頭にあるおかげで、畑に入る時や道路に出る時の横転しそうな所、ちょっと疲れている時や狭い道など何かやらかしそうな時でも、気持ちがピリッとして安全確認ができました。自分だけでなく、周囲にいる人を巻き込む危険性もありますから「死なない」し「殺さない」。この2つは大袈裟ではなく、いつも意識しようと心がけ続けます。と言いながら先日機械を壊して数十万円…全力で働きます(涙)。

 

「死なない」はもう少しライトに、日常のあらゆるシーンにも応用が効きます。作業中つい右手だけを動かしてしまいがちで、左手の動作が死んでいる。除草の精度が低いとすぐに草が生えて、せっかくの除草の機会が死んでいる。ヌルっと作業に合流して注意事項を聞き逃す。確認不足で無駄足、無駄手間になると時間が死んでいる。「あれ?今の瞬間死んでるな」と気付く。それを積み重ねる。少しずつ作業の質を上げていけている気がします。

 

今から大根のタネを播いたら2時間後は別の畑でトラクタ―をかける、それから小松菜、大根、カブの収穫…どんどん移動して色んな作業を飛び飛びで行う。そういう多品目栽培。スピード感に乗るのも難しいし、その都度の準備に片付けと手間もかかります。道具や、作業タイミングも最適化ではなくベターな選択しかできない事も沢山あります。だからこそ、一手を減らし、正確にこなす。この積み重ねがものすごく大切。

 

一方で小さな積み重ねだけでなく、仕組み側にテコ入れする事ができたら、今は当たり前と思っている多くの労力を削減して、「いい野菜をいい状態でお届けする」という本質的な部分に割く時間が増やせるのかなと、考えさせられる事もこの冬の間にいくつかありました。

 

まずはタマネギ選別機の導入。600g・400g等をその都度計量して袋詰めするのではなく、収穫したタマネギを機械で大きさ別に選別してしまい、S玉なら5玉、L玉なら3玉、野菜セットに入れればいいという仕組みで、小分け時間の削減と袋の削減に取り組めそうです。提案したカケル君お見事。選別機なしでは難しかった袋詰めなしの小分け。ゴミになる野菜の袋が、実は私もストレスだったので楽しみな取り組みです。上手くいきますように。袋がなくて不便というお客様もいらっしゃるかもしれませんが、こんな背景をご理解いただけますように。

 

それから、のらくら農場オリジナル野菜袋にケール、ピーマン、小松菜、かぶ等が加わりました。裏面にレシピが書いてあるので皆様にも楽しんでいただけたら幸いです。これは、野菜の出荷の際に生協さんなどのお取引先によってはトレーサビリティの観点から「産地名 作物名 生産者名」を書いたシールを貼る必要があったのですが、その省略に繋げることができました。シール貼りが地味に大変で、週に10人6時間とか、それ以上かけていたかもしれません。法律を調べたり、お取引様と丁寧に相談したり、皆の努力の結晶、この冬の革命の一つです。

 

こういった積み重ねがのらくら農場の強味なのですが、死なないシリーズで何よりもずっと大切なのが、モチベーションを死なせない。ご機嫌を死なせない。のらくらに来てからというもの、皆のモチベーションアップの上手さに驚かされ続けています。とにかく褒める。とにかく認める。安心感を与え続ける。挑戦する気持ちをそっと応援する。しっかり休む。しっかり頑張る。美味しい・楽しい・嬉しい・困ったを分かち合う。踏み込んで助ける。「足を引っ張りあう」の真逆で、「背中を押しあう」みたいな風潮です。野菜が大好きで、栽培が面白くて、皆で働くのが楽しくて、皆一生懸命畑に通っています。のらくらの野菜はそうやってできています。

 

今年、恐ろしいほどの資材の高騰に直面する中、萩原さんは人件費や設備投資に大きく注力する事にしました。のらくらの全員の生活や仕事が、いい意味で楽になる為の規模拡大、設備投資だとよく話してくれます。難しい時にもスタッフに真剣に向き合ってくださる事、感謝で胸がいっぱいです。この経営判断の緊張感を共有してもらえるおかげで「全力で売って売って、ロスを頑張って減らして、皆で稼ごう」そんな話がスタッフ間で自然と巻き起こっています。モチベーションを上げるってこういう事なんですね。お客様に満足していただける野菜をしっかり供給できるよう全力で向き合っていきたいです。

 

草木や虫や野菜達の育つ姿、死にゆく姿、それも毎日全身で感じます。生命のダイナミズムを感じ、自分の生きている事を確かに感じます。農業、本当にいい仕事です。

 

皆様の人生が、食卓が、豊かに彩られますように。いつもありがとうございます。 塚原芽衣

 

5月号

この波とシンクロしない 

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のらくら農場 代表 萩原紀行 今季もごきげんで突き進みます!! ↓

  のらくら農場、26年目に入ります。26歳の時に千葉から長野にやってきて、就農と同時に結婚。4月に銀婚式だったと気づいてびっくりでした。農場内で3組目の結婚が成立。カーリー、タカちゃん、おめでとう!
  四半世紀やってきて、これほど急激な世の中の変化は初めてとなります。資材高騰がかつてないほどになってきました。3月に20%の値上げになった資材が5月にさらに20%のアップで、144%アップ。運賃、ダンボール、肥料、と毎日のように値上げのお願いの連絡が来ます。値上げならまだましで、資材そのものが手に入らないという事態になってきました。コロナでマスク不足のときは、農業で使う、霜をよける保温シートがマスク生産にとられて納品は4ヶ月後(4ヶ月後には霜がない夏だよ)なんてこともありました。2月に発注したじゃがいも堀とり機の納品は8月末だそうです。
  「頼めば届く」時代が変化していくのかもしれません。これほど急激な上昇はさすがに初めてですが、実はこれまでダンボールの値上げは5回もありましたし、その他資材もずっとじわじわ上がり続けてきているのです。ただし・・・、世の中の野菜やお米の価格って、30年くらい値上がっていないのです。卵も少しは上がりましたが、ずっと低価格です。先日、鶏卵の国内最大手が倒産しましたね。農業者の平均年齢は67歳になりました。そりゃそうでしょう。
  世の中の野菜は、市場の相場に左右されますので、農家がどんなにコストが上がろうが、市場でダブつけば安くなる。圧倒的な量の市場価格が世の中の農産物の価格の基準感覚になりますから、身近な食材というのは常に下方向に価格が引っ張られます。
  農業の業界から伝え聞く声は、「しばらく設備投資は控える。我慢の時。」「雇用を減らす」「資材コストを下げるため、ランクを落とす」などです。
  僕の判断は次の通りです。

・肥料は値上がったが、肥料のランクは落とさない。栄養価と味の研究をしてきて、その道筋が見えてきたのに、落とす判断はできなかった。むしろ、より上げる。

・雇用は増やしました。給与も上げる。この難局を乗り切るのに、今の最高のスタッフの協力は欠かせない。

・出荷場と冷蔵施設を建設する予定です。4千万円以上かかってしまいそうです。これができれば新しい形の作付け、出荷の形を作れそうです。

これは決して「攻めの経営」でもないですし、「賭け」でもありません。(経営を預かっているものが賭けなんてしちゃいけません)この厳しい世の中の波と、シンクロしてはいけない、と思ったからです。波をずらす感覚です。哲人デカルトの言葉があります。

「困難を分割せよ」                                                

困難は全体として捉えない。困難の壁を小さく分けて考えて、蟻の一穴を開けていく。そして決壊させる。ずっとこれをやってきました。資材高騰しても、良い作物作りを続けます。そのほうが面白いんだもん。

この局面を乗り切るためにも、野菜セットの販売により力を入れていこうと思っています。今まで、ほとんど広告費をかけることなく、口コミだけでじわりじわりと伸びていきましたが、特に最近、のらくら農場の野菜セットをお友達や御親類に紹介してくださる方が増えていて、とてもありがたく思います。心から感謝申し上げます。

栄養価コンテスト

 オーガニックエコフェスタ2022,栄養価コンテストにおいて、ピーマン、甘なんばん、ケール、みつばが部門別のトップ賞をいただきました。ケールは4連覇。のらくら農場を昨年卒業した、マッキーとユキル夫妻が二位!ワンツーフィニッシュ達成できました。精神安定の効果があるアミノ酪酸、GABAが慣行農法の23倍ありました。甘なんばんは抗酸化力が平均の9.4倍ありました。得意の春菊は2位。(1位は有機資材会社さんのプランターでの実験栽培。そりゃないよ(笑))。絶対王者がいる部門はエントリー数が減っているらしいです。若い人の道を塞ぐのは本意ではないので、最優秀をとった作物は、もう出品しないと思います。新しいプレイヤーが輝く場であってほしいと思います。
 

 

1月号

ナスと話す

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去年の6月から期間スタッフで働いていましたゆうさくと申します。普段は「ゆうさくでげす」という名前で、ファンシーでクレイジーなぬいぐるみを作ったり、音楽を作ったりしています。のらくら農場の話は、友人のヒナさん(のらくらスタッフ2年目)からよく聞いていました。農業に無縁だった僕ですが、代表である紀行さんの動画を見て、イメージを膨らましているうちに、次第にのらくら農場に興味を惹かれるようになりました。そして気づいたら応募していました。一緒に雑貨屋を経営していた友人も、期間スタッフで応募し、自分の中で何かが始まる予感でワクワクの6月でした。

農場での日々は、たくさんの発見で溢れています。そして、はじめての連続です。農作業経験ゼロの期間スタッフも担当の作物を与えてもらい、一気に野菜と急接近します。長年の先輩達の経験を参考に、自分でも出来ることを見つけてやってみる。農場には「誰もが主役である」そんな雰囲気がありました。

収穫してきた野菜達を小分けして袋詰めするという一連の流れさえも、その時ベストな方法をスタッフ皆で意見し合い、変化していく。変わる事を恐れない姿勢で前に進んでいく事で、大切にしたい事や今のスタイルに合わない事を鮮明に分かりやすくしているのかなと感じました。

先輩方が、よく作物を「この子」と言っているのを耳にしていたのですが、その響きが可愛らしくて気になっていました。

作物との対話は、人との対話と同じように真剣です。言葉は交わさなくても、作物を見て真剣に対話する。時に、雨に打たれながらも、強い風に吹かれながらも、僕たちは畑に出て収穫をし、面倒を見ます。

野菜を「この子」と呼んでいた先輩達の気持ちはとても素直な気持ちの表れで、半年働いた今、思い返すと妙にしっくりくるところがあります。スタッフのユウさんが、軽トラの事も「この子」と言っていたのには笑いました。

僕もナスの担当を任せられ、ナスと毎日顔を合わせ会話する数ヶ月が終わり、秋になり、来年の生活について具体的に考えるようになりました。そして、農業に興味を持っている自分と、まだまだ夢に向かってやりたい事がある自分とを行ったり来たりして、一つの答えに辿り着きました。納得いくまで自分の中にある夢を追いかけてみようと。今年は野菜を育てるような気持ちで、音楽やぬいぐるみ、絵を作ろうと思っています。大切な仲間たちと毎日真剣に笑って悩んで、変わっていく季節や心の事も丁寧に見つめて過ごせた半年は、僕の宝物です。ありがとうございました。(デゲス)